縦裂FNO

俺はポエマー、すべてイカサマ。

2016-01-01から1年間の記事一覧

自己完結の果て

これは今朝がた、某SNSでも書いたことなのだが、通勤中に「仕事に行きたくない」「このままどこか行きたい」と感じるのは誰にでも良くあることで、皆思っていることである。ただ、それはなかなか実行に移せるものではなく、人々は群れをなして仕方なく職場へ…

つまらない日々

日々はつまらないというのに、瞬く間に過ぎてゆく。まるで同じ景色が続く長いトンネルの中を物凄い速度で走りぬけてゆくかのようだ。では、つまらない日々を突き動かすのはなにか、トンネルの崩落をもたらすものはなんだ、出口の光は本物か? そもそも日々と…

小説『夕焼けは無く』1話〜6話

1. 「雨が降るかも。」 マコがそう言った数分後、その予言は見事実行に移された。眼が冴えるような11月初旬の空気、息を吸えば食道や肺がスッと冷えてどこか心地よい乾きが体を満たし、そしてそれを補うかのように雨が滴り落ちる。開け放たれた窓から風は無…

感情と出来事を埋める言葉

人は喜びや悲しみを感じる時、それをいちいち「言葉」として捉えるだろうか、感情の様々な構成要素をいちいち言葉として捉えるだろうか。 自分が「嬉しい」「楽しい」「悲しい」と感じているとき、なぜ自分がそう感じているのかを根掘り葉掘り事細かに言葉と…

声は顔の一部などではない。

東京の杉並区にあるとある駅、僕は改札前で友人を待っていた。日頃から電車を利用する人にはわかると思うが、通常駅の改札前は目の不自由な人の為に「ピーーーン、ポーーーーン」という誘導音が鳴っている。 だが、聞こえてくるのはそれだけではない。人待ち…

創作 『円』

音は響くことを辞めてしまったのか、その静寂は、気圧変化で耳が詰まったときのそれに近い。聞こえるのは、微かな息遣い、靴底が砂利を転がす音。前後の記憶は無い。僕の主観が最初の景色を捉える。眼前に広がるのは、廃墟寸前の古い建物、長く続く螺旋階段…

ソドムとゴモラ

雨が降ってきたな、そう思って傘を開く、耳にはイヤホン。 車のヘッドライトは少しだけ大げさに雨を照らす傾向がある。実際はそんなに降っていないのに、その灯りは降りしきる雨を直線的に、地面に刺さるように直進しているように見せかける。鋭利ですらある…

創作「夕暮れと焼き肉」

「ゴミ、出してきて。空き缶。」 「え?空き缶の回収は昨日だったんだけど。」 「ええ?ならそこいらのテキトーなとこに捨ててきて。自販機の横にあるゴミ箱とかにさ。」 「やだよ….。」 「ああ?いいじゃんよ別に、そうしなきゃ片付かないんだって部屋が。…

怒りはぶつける為にある

前回に引き続きまた音の話である。 これは僕が横浜のアパートで一人暮らしをしていたときの事だ。有り余る時間に束縛の無い部屋、その頃の僕は「夜に遊んで朝に寝る」という大学生の義務を抜かりなくこなしていた。そんな日々の、ある日の朝。本日も任務完了…

冬はつとめて。

どうも冬になってからというもの、毎朝4時~5時の間に必ず目が覚める癖がついてしまった。この冬に限って言えばのことだが、今のところ朝まで一度も目覚めずにぐっすり眠れたという記憶がない。理由ははっきりしている。寒いからだ。 僕は毎朝4時半ごろにい…

評判の弊害

ある日、僕はふと映画が観たいと思い、某大手レンタルショップへ立ち寄った。ある程度は何が観たいか、というものが自分の中で決めてあったというか、既にイメージがあったので、棚からいくつかの映画を手に取り、パッケージや裏面をまじまじと眺めては選定…

(小説)ST∃M 『これは君の日々 3』

1. とても綺麗な三日月だった。そして、とても強く輝いているせいか、「月」本来の形を示す丸い影がうっすらと浮かび上がっていた。わたしはその影をそっと、三日月の鋭利な先端を結ぶように、弧を描くように指でなぞる。けれど、できあがったその形はどこ…

新年のご挨拶

クリスマスが終われば世間は急速に年末の空気を放ち、人々はいろいろな物事を「納め」、メディアは1年を「まとめ」始める。たしかに世間がそういう空気を醸せば僕自身、意識せずともその年を振り返って、来る新しい年に空想や期待を重ねてしまうが、時間の…