縦裂FNO

俺はポエマー、すべてイカサマ。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

知ってること、知らないこと

マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて 第4巻 花咲く乙女たちの陰にⅡ』の序盤にこんな例え話がある。 牢獄か施療病院で生まれた子供が、人間の器官は干からびたパンと薬しか消化できないと長らく思い込んでいたのに、あるとき不意に、桃も杏子も…

ドレスデン・ホロコースト

ドレスデン爆撃と聞いてそれを知っている人はどれくらいいるだろうか。あまり多くはないはずだ。かく言う僕もその爆撃があったこと自体は知っていたが、名前だけ、という程度だったのだ。しかし、最近読んだカート・ヴォネガットの小説『スローターハウス5…

眠ることへの恐怖心

変な話だが、僕は悪夢を見るときはそれが事前にわかる。 眠気というのは一種の快楽だ。息を吸い、そして吐き出す度に心地よい吐き気のような感覚が全身に巡り、だんだんと体が泥に沈むように重くなってゆく。通常ならばこの段階で意識が朦朧としてきて、頭…

友人の父の死に思うこと

先日、中学時代からの知り合いである友達の父親が亡くなっていたことを知った。その友人とは中学時代は本当によく遊んでいて、大の親友だった。家が近かったということもあり、彼の家へも何度も遊びに行っていたので、当然その父親と何度も顔を合わせていた…

建物の昼と夜

今は取り壊されてしまっているが、家から自転車で15分程度走ったところにゴルフの練習場があった。だだっ広い土地の外周には緑のネットが張られていて、昼夜問わず大人たちが打ちっぱなしに興じていた。僕はなんとなくそれを見るのが好きで、少し遠周りにな…

覚めない夢は

僕は電車に乗りこむなりすぐに最初のページを開いた。カート・ヴォネガット・ジュニアの自伝的小説『スローターハウス5』。この日に備えて買っておいた本だ。 これは先日の日曜日のこと。僕は朝6時54分に最寄駅から電車乗り込み、7時35分にはJR京葉線で東京…