駅の階段は水中に
今日、僕は駅の階段を降りていた。
目の前ではロングスカートを履いたお姉さんがリズミカルに階段を駆け下りる。テンポはタンタンタンタンタンッ。スカートは膨らみ、そしてしぼむ。それを何度も何度も繰り返す。
右足を宙に踏み出すとスカートは空気を孕んでフワリと膨らむ。柔らかく着地するとスカートはシュッと空気を吐き出す。
膨らんでしぼんで、膨らんでしぼんで。
「クラゲだ!!」と思った。
そのスカートの動きはクラゲが泳ぐ時の動きそのものだった。
彼女はスイスイと泳ぐように階段を駆け下り、僕の行き先とは反対の電車に乗り込み消えた。