縦裂FNO

日々、見るもの流れゆく物の例え。

大崎の赤い目 その1

東京の大崎という街の高架下を歩いていた。

品川方面へ新幹線の高架下をテクテクと歩く。この品川方面というのがキモだ。戸越方面、五反田方面は街の賑わいが途絶えることはないが、品川方面となると人もお店も消えて、まさしく「道路」しかないのである。

しかし本当に何もない。何もないのだ。周りはよくわからない施設と線路しかない。人すらも見かける事がない。だんだん自分がここに居てよいのか不安になってくる。そう思い始めると数少ないすれ違う人にさえ「お前はここで何をしているんだ?」と思われているような気がして、僕は早急に大通りを目指すのだった。

 

スタコラサッサと歩を進めていると高架下のフェンスに目が留まる。高架下は丘の斜面のようになっていて、このフェンスはゴミや石ころが歩道に落ちてこないように設置されているものだ。

当然だがフェンスはたくさんのゴミを受け止めている。面白いのはそのゴミが地層のようになっていることで、フェンスの上に行けば行くほど当然新しいゴミが、下に行けば行くほど古いゴミが溜まっている。

とにかく空き缶が大量に投げ捨ててあったのだが、フェンス最下層付近の空き缶をよく見ると、とても古いものであることがわかった。ひどく錆びついていて、何の空き缶かよくわからないものも多いが「NOVA」と書かれてある缶コーヒーの空き缶を発見。見たことも聞いたこともない缶コーヒーだが、その場でポチポチと検索すると90年代半ばにアサヒ飲料が「WONDA」の前身として発売していたものであることが判明。実に20年近くこの場に放置されていたことになる。

その他見たこともないデザインのジョージア、聞いたこともない名前のジュースなどあれこれと目につく。

 

変わりゆく街に対して20年近くも動くことなく、雨風に晒され置いてけぼりをくらっていたこの空き缶の長い年月を考える。

 

思えば高架下という場所はどうも時代の進化に取り残された場所のように思える。高架下のお店はどこも狭く汚く、電車の走行音もうるさい。ピカピカで最新設備の高架下のお店などは、どうも想像するのが難しい。しかしそれはそれで良いのだろう。なんでも新旧あれこれ色分けしなくても良いのだ。

 

そのまま品川のほうへ歩き続けようとも思ったが、当分似た景色が続きそうだったので道を引き返すことに。僕は五反田まで歩くことにした。

その時こんな話を思い出した。

 

「大崎から五反田まで歩くと赤い目がついてくるらしい」

 

辺りは暗くなり始めていたので、これはちょうど良いなと考え五反田方面へ歩を進めた。

 

 

 

その2へ続く。