縦裂FNO

俺はポエマー、すべてイカサマ。

意識の網、過去の堆積

暖かな季節が近づくにつれ、日々の眠りは浅くなる。まるで意識がベッドに強く根を張っているようである。布団のぬくもりが徐々に体温を追い越し、やがて不快な感覚に変わる。今年は暖冬の影響もあり、いつにもましてその傾向が早く表れているような気もする…

転がる石

仕事中に父から連絡があり、九州に住む父方の祖父が免許を返納することを知った。年はとうに80を過ぎている。今のご時勢を考えれば当然だろう、何かがあってからでは遅い。ただそれ以上にいろいろな思いや感情が僕の頭の中をぐるぐると駆け巡り、何も言わず…

Road to Nowhere

記憶が妄想か、それとも思考の断片のようなものか、それらが煙のように蔓延する心地よい世界を自我が直線的に突き抜ける感覚の後は己の目蓋がバサリと開く音、刺々しく飛び込む朝日、いつも通りの眠り足りない感覚、いつも通りの仕事に行きたくないという気…

ここで途切れることもある

ただぼーっと天井を眺めては天地がひっくり返る想像をした。屋根を歩き、空に落ちる。右足が電線に引っかかった僕はかろうじて事なきを得た。 4月になった。日曜日の夕方5時半、春の西日は静かに陰り、部屋は薄暗く、開け放った窓からは犬の鳴き声が聞こえる…

「夜中にひとりで泣いちゃったり」他

1.「夜中にひとりで泣いちゃったり」 自分が理性を離れた瞬間を見つけるのは難しい。言語化される前の、イメージだけが巡り巡る感じ、それを覚醒した意識が捉える前に掴みたい。 鳴り響くアラームの後、5分間のまどろみ。寝ているのか起きているのか、そんな…

社会の窓が開きっぱなし

1. 12月25日、午後13時半。馬喰町駅。馬を喰らう駅と名付けられたここはとても深く、とても薄暗く、湿気は深刻で、あちこちネズミたちが這いずりまわっている。壁は薄汚れ、派手に亀裂が入っており、大きな地震が来れば簡単に壊れるだろう。僕は背中を丸め、…

犬/蟹/服/猿/露/

犬が死んだ 近所の犬が死んだ。可愛がっていたわけでもないので特段悲しくはない。ただ、放置された犬小屋を見るたびに犬は死んでもうこの世にいないのだということを思い出すから嫌なのだ。 その犬は1年ほど前から目の周りが黒ずみ出したり、明らかに元気が…

これはお前の分

最近見た映画、デヴィッド・フィンチャー監督の『ファイトクラブ』。 Amazonプライムビデオにあったので3日で2回観たり、、 これがまた自分が常々思う事や感じることと見事に合致している作品というか。。 「俺が言いたいのはこれだ!」という作品に出会える…

SSSick

今日も仕事が忙しい。だからずっとヘラヘラしている。暇そうな先輩の無駄話にヘラヘラ、上司の冗談にヘラヘラ、顧客からの電話にヘラヘラ、フリーズしまくるノートPCにヘラヘラ、急に冷え込む朝にヘラヘラ。 遅い時間まで客先に居座る。20時半、宇宙物理学…

僕は空っぽのペットボトルのような人間です

「ペットボトルのような人間」 僕は空っぽのペットボトルのような人間だと、毎週土曜日の朝、溜めこんだペットボトルを捨てに行ったあと思う。ペットボトルのゴミは非常に場所をとる、中身は空洞で空っぽのくせに、そんなのまるで俺じゃねーかと。 たくさん…

Shogyou mujou.

『不幸を避け、幸福を待つ』 年を超すとき、いつも「来年は誰が死ぬのだろう」と考える。少ししてから、「来年はどんな事件が起こるのだろう」と考える。別に不幸を望んでいるワケじゃない、ただの興味だ。これから来る年を考えるときに「来年はどんな嬉しい…

新幹線の車内で

新幹線のぬるぬると滑るように走る感じが心地良い。走りに角というものがまるで無い。そうした穏やかな乗り心地は嫌が応にも眠気をさそうものだけど、なかなか寝付けないのは緊張だとか不安だとか、不快な気持ちがもやもやと胸の中で滞り続けているからだ。 …

創作『幹部たちの死』

1.寝坊と死刑 「オウム真理教の元幹部たち、死刑執行されたな、7人一気に。」 「されたされた。でもなんか不思議な気分だよなぁ、だって子供の頃、麻原がテレビ出たりしての覚えてるぜ。しかも選挙に出たりしてさ、選挙カーの上で変なうた歌って。そんな人た…

孤独死を許すな

最近、自宅の周りのものがどんどん消えてゆく。家から一番近いところにあった自動販売機、古い民家、病院跡地などなど。 そこにあったものがふと消えるというのは不思議な感覚がする。二度とその空間を再現できないという点に於いて、それは生物でいうところ…

飽和するアナログ

ITの仕事をしているとITに関する技術が恨めしく思えてくる。というのも世の中を便利にする為のIT、しかしそれを構築する側としては導入後にシステムを管理しなくちゃならないワケで仕事がどんどん増えてしまうからだ。 ならばシステムを構築したあとに、その…

みんないつ大人になったのか

レモンスカッシュとポッキーを買ってコンビニから出ると、アスファルトの焼けた匂いがして初夏も近いのだと悟った。僕はつい先日誕生日を迎えてまた歳をとったが、そこに季節を繰り返す事との関連性があまり見出せない。また夏が来るのなら僕はまた歳をとる…

鳥の筋肉

先日、昼食をとる時間もないまま仕事をしていたところ、気が付くと時刻は14時近くになっていた。もうこんな時間か、そんなことを意識した途端に空腹は襲ってくる。昼休みも終わったこの時間に社内でネットサーフィンしながらパンを齧るのもどうかと思ったの…

形は無いけどカタチになる

自分の仕事、6割くらいはメールだと思う。とにかく毎日100通以上のメールが来るし、頭を空っぽにして定型文を打ち込み、キーボードの文字が削れて薄れる程にそれらを捌く。そしてある日の昼休み、僕はパンを齧りながらメールチェックをしているときに思う。…

漫画返せ

早稲田松竹で映画を観た帰りのこと。魚喃キリコの漫画が原作の映画『blue』を観た。作品の良し悪しは別として、なんとなく鑑賞後はひとり街を闊歩しながら頭の中で言葉探し。実経験では持ち得なかった感情を映画から得るのだ。それはただの暇つぶしかもしれ…

電気箱

冬場、エレベーターのボタンというのはそこへ行くのを拒むかのように凶器となる。静電気がきまくるという意味で。 一回目、一階から四階へ。壁に備え付けられているスイッチ、④を押すとバチンときた。ただ静電気というより普通に感電だろって程に痛くて僕は…

幽霊船

蛇口を押し上げ水道水をコップに注いでいると、どんなものにもそれを許容できる限界というものがあるのだとよくわかる。どんなに大きめのコップを使おうがそれは容れ物である限りいずれ満杯となり水は溢れ出す。それと同じで、自分が限界だと感じる場面は誰…

2017年 10月30日~11月5日

10月30日(月) 代休で仕事は休み、3連休。しかし代休と言えどいつも仕事の電話は来るしメールも来る。そんなうかうか昼寝もできない状況を休みと言えるのだろうか。とりあえず朝はいつも通り起きて歯を磨き顔を洗う。そして再びベッドに横になって、鳥の鳴…

2017年 10月16日~10月22日

10月16日(月) 会社は初めから休むつもりでいた。とりあえず朝はいつもどおりに起きて、いつもどおり顔を洗って水を飲んだけど、その後はベッドに戻って「本日体調不良の為お休みを頂きます」とメールを打った。家の中のどたばたとした朝の喧騒は、ちゃんと…

どうせやる気なし

いつの間にか夏が始まっているように、いつの間にか夏は終わっている。季節の境目が曖昧だから、寒かったり暑かったりでノスタルジックな気分になる。いつも今とは違う季節を思い出している。 夏に追いすがるかのようにして白球を追いかけた球児たちの夢は消…

猿の畑

埼玉の東武動物公園、この無駄に広い古びた動物園は割引券でも貰わない限りわざわざ自分から出向くことなどない。なにせ動物園のほかに遊園地、プールを含んだ複合施設とは言え通常料金1700円は余りに高すぎる(上野動物園は600円)。 そういったことはさて…

白球を追いかけ、ウナギを頬張る。

「夏が来たな」と思ったのも束の間で、あとひと月もしないうち9月になり秋が顔を覗かせる。秋が来ればあっという間にクリスマスが来て、年末を迎えてまた年を取る。今年は何をしたっけ?今年も何もできなかったんだっけ?そんなことを今のうちから考えてしま…

17.6.11

1. 近所に建っていた雑居ビルが取り壊されたのはつい三日前のことで、空き地をじっと眺めていると、同じく近隣住民であるフミさんがどこからともなくあらわれ私に言う。「いやぁ、空が広くなったわねぇ。とっても清々しい気分だわぁ。」「ええ、まぁ、ホント…

生物であるから歩く

先日のことである。駅の改札を出た僕は、すぐ目の前にある横断歩道を渡ろうと駆け出した。普段は人通りの多い横断歩道であるけれども、自分が渡り始めた時点で既に歩行者は居らず、青信号は間もなく点滅へと変化しそうな様子であった。 その途中の事である。…

自己完結の果て

これは今朝がた、某SNSでも書いたことなのだが、通勤中に「仕事に行きたくない」「このままどこか行きたい」と感じるのは誰にでも良くあることで、皆思っていることである。ただ、それはなかなか実行に移せるものではなく、人々は群れをなして仕方なく職場へ…

つまらない日々

日々はつまらないというのに、瞬く間に過ぎてゆく。まるで同じ景色が続く長いトンネルの中を物凄い速度で走りぬけてゆくかのようだ。では、つまらない日々を突き動かすのはなにか、トンネルの崩落をもたらすものはなんだ、出口の光は本物か? そもそも日々と…